フラップずれの可能性は?
レーシックの手術を受けた後、フラップはかなりの強度で元通りにくっつくといわれていますが、完璧かどうかは未だ不透明です。
本来、角膜とは何層かの層状構造をしています。そしてレーシック後は、フラップの部分の接着が一番弱くなっている状態です。
そのため、なんらかの強い外からの力を受けた場合には、その接着部分に一番負担がかかります。
そこで、レーシックの手術後には、どこの眼科においても、1週間は就寝時に保護眼帯をする様に指導している現状です。しかし、その期間を過ぎても完全に大丈夫だとも言いきれません。
特に目をこするクセがある人は気をつけなければいけません。レーシック手術後に半年以上経過すれば、余程強い衝撃を受けてもズレることはほぼありませんが、避ける方が無難ですね。
手術後どれくらいでフラップは安定するの?
レーシックの手術後、何年か経った後でもフラップがズレた例は過去には報告されています。
レーシックの手術を受けて1年以上経ってから、交通事故により角膜や結膜に直接強い外からの力が加わることのよって、結膜と角膜の周辺が切れ、フラップがずれたという例があります。
この例のように、強く外からの力がかかると1年以上たってもフラップはずれる可能性はゼロではありません。そのため、格闘技などの激しいスポーツをしている人は、視力回復のためには、レーシックではなくラゼックが安心です。
フラップはどうやってくっついているのか?
レーシックの手術の際に作成されるフラップは、何層かになっている角膜の表面を、薄くスライスして作られます。
そして、レーシックの手術は、作られたフラップをめくって、角膜実質層にレーザーを照射して、角膜の一部を削ることによって屈折率を矯正し、その後もとに戻されます。
このとき、フラップは角膜表面に吸着している状態で、目が自然にもつ吸着力だけによって固定されているのです。針と糸で縫い合わせたのではありません。
そのため、術後すぐにこすったり、目に強い衝撃を受けたりすることによって、フラップがずれる可能性はあります。
角膜の一部には、再生機能があって徐々に癒着するので、フラップも強く吸着していきます。角膜の一部が癒着するまでには、通常、3ヶ月くらいはかかるといわれています。
フラップがずれるという可能性は、全くないとはいいきれませんが、日常生活ではズレることはありません。外からのよほど強い衝撃を目に受けることだけ気をつければ大丈夫でしょう。
▼フラップがズレてしまうことはありませんか?
手術時に作成するフラップの厚さはわずか90~180μmしかありません。この薄いフラップの中には「ボーマン膜」という固い殻のようは層か存在しており、このボーマン膜のおかげでフラップは伸ぴたりちぎれたりせずに強度を保つことができます。
角膜上皮は術後24時間でほぼ修復され、1週間も経てば安定します。角膜上皮の下のボーマン膜には再生能力がないために、角膜内部に切断面は残るものの、一度安定してしまえば日常生活に全く支障はありません。実際に海外では、目に非常に高い負荷のかかる戦闘機のパイロットも手術を受けています。
フラップは一度安定すれば、強い衝撃を与えてもズレる心配はありませんが、角膜の強度は完全に元どおりになるわけではないため、眼圧の測定値などに影響がでることは覚えておきましょう。
出典:レーシックで失敗しない本(吉田憲次 著)