レーシックの危険性について考える

レーシックはそもそも非常に誤解されやすい施術です。大切な目のことなのでネット上でもデマが流れやすいですし、安全性に注力する眼科医たちの努力とは裏腹に、世間でのイメージはあまりよくありません。

モラルを逸した一人の医師が起こした銀座眼科事件(レーシック手術集団感染事件)によって、レーシックは危険だと信じている方もみえます。

未だに「レーシックをして失明した人がいる」などというデマを信じている人すらいるほどです。レーシックがそれほど危険な手術であれば、眼科医たちもそんなものを行ったりしません。自分が訴えられてしまいますから。

確かにレーシックも手術ですから、完全にリスクがゼロだとは言えません。ですがそれは他の手術も同様であり、レーシックは科学的・客観的にも安全な手術です。だからこそ厚生労働省が認可を出しているのです。
 

消費者庁がレーシックに対してクレームを発表?

2013年12月に消費者庁がレーシック手術に対して注意喚起を行いました。この注意喚起に対してはいろんな意見が続出。

NHKなど多くのメディアは消費者庁の発表にのって、レーシックをバッシングする報道を乱発。消費者庁やメディアの発表内容を聞けば、誰もレーシックを受ける気はしなくなる内容です。
 

下記は消費者庁によるレーシックへの注意喚起からの抜粋。

3.レーシック手術に関するアンケート調査
(1)レーシック手術を受けた消費者の4割以上が症状や不具合を感じています

消費者庁が行った、レーシック手術経験者対象のアンケート調査12(以下「アンケート 調査」といいます。結果の詳細は別紙1参照)によると、レーシック手術後に「希望し た視力になった」人が 74.3%(446 人)でした(図3)。一方、「希望した視力に届か なかった」、「一旦は希望した視力になったが、元の視力に戻ってしまった」を合わせ ると、回答者の約2割は希望した視力を得られていないことが分かりました。また、5.0% (30 人)は「矯正され過ぎた」と回答しました。

また、手術後に視力以外の症状や不具合が生じていると回答した人の割合が 43.2% (259 人)に上りました。症状や不具合の内容は、「光がにじんだりギラギラしたりする」、 「ドライアイが続いている」、「暗いところで見えにくくなった」の順で多くみられま した(図4)。

「希望した視力になった」と回答した 446 人の内、33.2%(148 人)は視力以外の不具 合が生じており、希望どおりの視力が得られ、他の症状も特段生じていないという人は、 回答者全体の 49.7%(298 人)でした。 手術後の視力が希望どおりにならなかった又は不具合が発生したと回答した302人に、 手術を受けた病院に申し出たかを尋ねたところ、「手術を受けた医療機関に相談しなか った、又はクレームを申し出ていない」が最も多く、手術経験者の 29.5%(177 人)で した(図5)。一方、手術を受けた医療機関のみに相談やクレームを申し出たとの回答 は 12.2%(73 人)でした。また、6.8%(41 人)は、手術を受けた医療機関とは別の病 院に相談していました。

出典:消費者庁国民生活センター News Release 平成25年12月4日

これは本当なのでしょうか?ここまで被害者が続出すれば、世界中で問題になってレーシックそのものがなくなると思いますが…。実際のところはわかりません。

しかもどうしてレーシックだけが標的になったのかが不明。矯正歯科はいいのか?美容整形でも事件は起こっているがどうなのか?という疑問は残ります。
 

下記はレーシック手術の危険性についてNHKが発表した内容の抜粋です。

消費者庁が、先月、過去に手術を受けた600人を対象にアンケート調査を行ったところ、4割余りの人に、手術後、▼光がにじんだ、▼暗いところでものが見えにくくなったなどの不具合があったことが分かりました。

東京都内に住む40代の女性は、3年前にレーシックの手術を受けましたが、その直後から目に激しい痛みを感じ、症状は今も続いています。女性は、「目の中にシャンプーが入ったような痛みが、ひどい時は一日中続いている」と訴えています。

原因の一つと考えられているのは、手術の合併症として知られる、涙の分泌が少ない「ドライアイ」です。女性は、朝起きた直後から夜寝る前まで、痛みを和らげるため、多くの目薬を使います。大好きな化粧もできなくなりました。

NHKのレーシック報道

また、別の合併症として、光がにじんで見える「ハロー・グレア」という症状も出ていると言います。夜の車の運転ができなくなりました。女性は、「レーシックによって、そうした痛みや、めまい、吐き気、頭痛といった症状が出るということは全く知らなかった」と話しています。

出典: NHK生活情報ブログ「レーシック手術に注意呼びかけ」

レーシック手術は自由診療のため、正確な手術件数は分かっていません。
大手クリニックに取材したところ、平成20年ごろをピークに、現在は半分ほどに減っているということですが、背景には、平成20年から翌年にかけて、東京・銀座にあった眼科の診療所「銀座眼科」で、器具の消毒が問題で患者に角膜炎の集団感染が起きたこともあるとみられています。

今回お伝えした不具合は、そうした衛生管理の問題ではなく、手術を受ける以上は、あらかじめ起きる可能性がある合併症などのリスクの問題です。
角膜は、一度削ると元には戻りません。筑波大学の大鹿教授のコメントを改めて紹介し、考えていただければと思います。

大学教授が語るレーシックの危険性

「眼鏡やコンタクトレンズは、非常に優れた矯正方法だ。それと比べレーシックは安全かというと、そのレベルまではまだ達していない。眼鏡やコンタクトレンズをどうしてもできない、したくないという強い理由がある場合は、レーシック手術を検討することになると思うが、レーシックにはメリットはあるけれどもデメリットもあるということを、きちんと理解してほしい。

矯正の程度については、アフリカのサバンナで遠くの動物を見るのはいいが、現代の社会というのは、身の回りを見ることが多く、特に携帯電話、スマートフォンでは、1.5や2.0の目は逆に見づらい。日常生活では少し控えめな視力、例えば0.9とか1.0くらいのほうが楽な視力、目だということをまず知ってほしい」

出典: NHK生活情報ブログ「レーシック手術に注意呼びかけ」

大学教授のコメントを掲載して強調しているところがNHKらしいですね。もしこの教授がレーシックを賛美していたら、そのコメントは使われないでしょう。賛成派と反対派、両方のコメントを紹介してほしいですね。
 

そして大学病院と眼科専門医により活動を続ける「安心LASIKネットワーク」の眼科医師から下記のような声明文が発表されています。レーシック業界は猛反発しているといったところです。

【声明文】

2013年12月4日に消費者庁より発表になったレーシック報道について

この度、消費者庁より発表された「600人を対象としたアンケート調査の4割に問題があった」とする根拠はまったく不明瞭であり、このような発表と報道がなされたことを真に遺憾に思います。それほど問題の多い治療であれば、我々眼科医はこの治療を現在のように行ってはいません。レーシックの安全性および有効性については、多くの眼科雑誌で報告されており、当会サイトでも代表的なレビューを紹介しています。

確かに、モラルを欠いた非常識な医師(銀座眼科の例)によるずさんな治療や、インターネットで安価な治療を提示して薄利多売的な事業を行っている施設による治療の質には我々も問題と考えており、十分に注意をしていただきたいとの思いから、情報提供・啓発に取り組んでいます。

しかし、レーシック手術そのものが危険を伴うものととれる発表と報道は、現在の科学を否定し、時代の流れに逆行するものです。海外で一般的に行われている治療が、日本では受けられない、といった不自然な状況を生み出すものと危惧します。

このような科学的裏付けの評価を得られないデータ(母集団が不明、重複回答の可能性あり)を発表した消費者庁の行いは、消費者庁の存在価値を揺るがす重大な問題と考えます。レーシックは厚生労働省が臨床治験を経て認可した術式であり、よって今回の発表は消費者庁が厚生労働省の臨床治験そのものを否定したことになります。これはあまりにも杜撰な発表であり、消費者庁の学識的な水準と組織そのものの在り方をも問われる由々しき事態といえます。

レーシックは眼科医療技術ですので、目の医学について十分な知識があり臨床経験を積んだ眼科専門医による診断をまずは受けていただくことが重要です。

安心LASIKネットワークでは、レーシックを安全に受けていただくための『安心の条件』と、レーシックを受ける前の『10のチェックリスト』を提示しています。

メガネやコンタクトレンズを快適に使用でき、とくにそれを外したいと思わない人は手術を受ける必要はありません。メガネやコンタクトレンズが自分のライフスタイルや目の状態に合わないなど、裸眼の生活を望まれる方にとって、レーシックは有効な選択肢となります。その時は、安全に眼科医療として眼科専門医のもとでレーシックを受けていただきたいと願っています。

安心LASIKネットワーク 眼科医師 一同

出典:2013年12月4日に消費者庁より発表になったレーシック報道について

この声明文を読めばわかるように、「安心LASIKネットワーク」の眼科医師たちは、消費者庁の発表について話し合った際には、恐らくブチキレていたでしょう。真摯にレーシック手術に取り組んでいた医師達からすれば、それも当然かもしれません。
 

レーシックの危険性についてのまとめ

私はレーシックを受けてから1年ほどドライアイが続いたという友人も知っています。ですが友人がレーシックを受けたのは10年近く前のこと。格安料金で初期のケラトームレーシック(※)を受けていました。(※角膜フラップをカンナ状のもので削る施術。医師の技量も問われる)

今は技術も比べ物にならないほど進化しています。もちろん手術リスクはゼロではありませんが、このような過去の情報を見て、今現在も「レーシックは危険だ」と判断するのはどうかと思います。

せめて現在のレーシック手術を基準に判断すべきじゃないのか?というのが率直な感想です。